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東京家庭裁判所 昭和34年(家)10772号 審判

申立人 中村久美子(仮名)

未成年者 中村文子(仮名)

主文

本件申立を却下する。

理由

申立人は、未成年中村文子の後見人として申立人を選任する旨の審判を求め、申立の理由として「中村文子は、父中村成夫、母申立人の二女として昭和一五年二月○○日生れたものであるが、昭和一八年三月○○日他家の戸主である中村久代死亡によりその選定家督相続人として同家を相続した。ところがその家に親権を行う者がないので後見が開始し、昭和一九年一一月○日父中村成夫が後見人に就職したが、同人は昭和二〇年七月○○日戦死し、以後、後見人がないまま現在に至つているので、後見人の選任を求める。」というのである。

申立人提出の筆頭者中村光一郎の除籍謄本、申立人の陳述等によると、申立人主張の事実が認められるばかりでなく、母である申立人に親権行使の妨げとなる具体的事情はなにも存しないのであるから、かような事実関係の下においては、日本国憲法の施行に伴う民法の応急的措置に関する法律第一条、第三条、第六条により、同法施行とともに申立人が親権を行使しうることとなり、後見は終了したものと解するのが相当である。よつて本件申立は理由がないので主文のとおり審判をする。

(家事審判官 藤原英雄)

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